ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン を見た話⑪ (ネタバレ有り)
こんにちは。うさぎです。
前回、情緒不安定かつ超長文でお送りしましたが、今回は落ち着いて、まあまあな文章量でお届けできたらと思います。
気合を入れて行きましょ!!
記事では本編の内容について扱い、ネタバレを含みます。
以下、ご注意ください。
第11話 「もう、誰も死なせたくない」
C.H郵便社に戦場の兵士から代筆依頼が届きます。
大切なドールを危険な目に遭わせたくないと、ホッジンズは依頼を断るつもりでいましたが、ヴァイオレットは偶然、その依頼を立ち聞きしてしまうのでした。
ーーー戦場にも誰かに想いを伝えたい人がいる。
ヴァイオレットはホッジンズに黙って戦場へ赴きました。
クトリガル国、メナス基地。
そこは、内戦が勃発したばかりの危険地域で、たどり着くことさえも困難な場所でした。
ヴァイオレットは現地のヴァンダル郵便局の協力を得て、飛行機で基地へ向かいます。
依頼主のエイダン・フィールドは、所属する部隊の出撃命令を受けて雪山の中を歩いていました。
戦争はもう終わったはずなのに、恋人のマリアと両親が待つ故郷には、まだ帰ることができません。
突然、銃声が鳴り響きます。
物陰から兵士たちを狙っていたのは、ガルダリク帝国の残党でした。
まるで狩りを楽しむかのように、兵士たちを次々に撃っていきます。
「嫌だっ......!! 死にたくないっ!! 俺はっ......帰るんだ!!」
逃げ惑うエイダンでしたが、彼から散った鮮血は雪を赤く染め上げるのでした。
凄惨たる戦地に、上空から一人の少女が降りてきます。
それは、C.H郵便社の自動手記人形ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンでした。
ヴァイオレットは残党を振り払い、エイダンを担いで小屋に隠れ、傷の手当を施します。
ですが、死期を悟ったエイダンは手紙を書いて欲しいと頼みます。
自分を育ててくれた両親への感謝の手紙、そして、故郷に残してきた幼なじみの恋人マリアへ「愛してる」と。
エイダンの言葉を指の動きでヴァイオレットは記憶します。
ヴァイオレットはエイダンを看取りました。
「大丈夫ですよ、旦那様。手紙は必ずお届けいたします」
夜が明け、ヴァイオレットはエイダンの故郷へ舞い降りました。
マリアとエイダンの両親は、手紙を届けてくれたヴァイオレットに涙ながらに感謝を告げます。
「エイダンを帰してくれてありがとう」
本当は助けたかった。でも、助けられなかった。
ヴァイオレットは、やりきれない想いに胸が締め付けられます。
「もう、誰も死なせたくない」
しんどかったです......。
この回は、個人的に一番何を思うべきか分からなかった回でもあります。終わったはずなのに終わらなかった戦争を恨むべきなのか、撤退するエイダンを敵軍がしつこく追い回し殺そうとしたことを酷いと思うべきなのか、きっとどれも間違ってはいないけれど、正しくもないのかなと思います。戦争は、単に損得だけでなく、それぞれの正義や祖国に対する想い、敵国に対する感情などがごちゃごちゃに混ざっているものだと思っています。だから、エイダンの死は偶然ではなかったと感じます。
大きく逸れてしまいましたが、本編に話を戻します。
エイダンは未だ内戦が続く地帯で兵士として従軍していました。出撃前にマリアの写真ともらったハンカチを見ていた部分が印象的です。未練を残して死ぬわけにはいかない、という決意に見えました。敵軍に襲われた後、何としてでも生きると、一生懸命に逃げる姿は胸が痛かったです。そして、撃たれてしまった仲間を見捨てない所も、優しく仲間想いの人物なのだと分かりました。たとえ生きていたとしても、負傷して動けないのであれば...と考えてしまいます。
ヴァイオレットが来て、手紙を書くシーンは胸が締め付けられました。両親とマリアに愛され、エイダンもみんなを愛していたのだと分かりました。もう一度お父さんとお母さんが出会ったら、自分も息子として生まれたいと言った所は感動しました。そしてマリアとは、まだ恋人らしいことをしたことがないと言っていました。彼らの大切な時間が戦争によって奪われた証拠でもあります。たくさんしたかったこと、してあげたかったことがあると思いますが、その気持ちを手紙にして伝えることで少しでも後悔が無ければよいなと思いました。死と隣り合わせの戦場だからこそ、誰かに伝えたい想いがある、ヴァイオレットの行動は危険で無謀ではあるものの、ドールとして正しかったのではないでしょうか。
最後にヴァイオレットが手紙を届けに行った所はつらくて仕方なかったです。最初は、"エイダンを帰してくれてありがとう"の言葉の意味があまり分かっていなかったのですが、きっと身体は帰ってこないとしても、心=想い=気持ちを、愛する人の所へと伝えることができたことを表しているのだなと分かりました。エイダンから手紙が届いた時のマリアの嬉しそうな表情と、何かに気づいて顔を曇らせる部分は、繊細に描かれていてすごいと思いました。
ヴァイオレットは同じく戦争で大切な少佐を失いました。大切な人、愛する人を失う気持ちや痛みが分かるようになったからこその、"もう誰も死なせたくない"という想いだったと思います。ヴァイオレットが成長したのと同時に、人間性も生まれていることが分かりました。ヴァイオレットには、これからより楽しい、嬉しいといった感情も感じてもらえるような瞬間があれば良いなと思います。
今回はここで終わります。
読んでくださりありがとうございました。
はな
2021/09/11